土地家屋調査士の難易度と合格率。合格への道のりを把握しよう

難易度と合格率 調査士の概要

土地家屋調査士試験について

土地家屋調査士になるには試験に合格して登録を受けなければなりません。試験には受験要件がなく、誰でも受験することができます。

試験は筆記試験(午前の部、午後の部)、口述試験によって構成されています。午前の部は測量士(補)や建築士に合格していれば免除されるので、免除要件を持っていない方は、容易に取得できる測量士補に合格してから、午後の部を受験するのが多くの方が進む通常のルートとなっています。口述試験は受験すればほぼ間違いなく合格するので、「午後の部」が実質的な試験となっています
省エネで測量士補に合格する方法を考えてみた

難易度と合格率について

調査士試験の受験者数は年々減少傾向にありますが、合格率(合格者数÷受験者数)は、毎年8.5%前後でやや上昇傾向にあります。
10人に1人も合格しないというこの数字だけ見れば、敷居が高いと感じられるかもしれません。しかし、合格者の平均年齢は39歳であり、働き盛りの会社員が、仕事の合間をぬって受験しているというのが実態です。

他の難関国家資格のように、時間に余裕のある大学生や、10代20代の専業受験生がしのぎを削るというような試験ではないのです。だからこそ、有効な勉強法や道具を導入すれば、一歩ライバルに先んじて、必ず合格できるのです。

年度出願者数受験者数合格者数合格率(%)
R45837
R35411385940410.47
R25270378539210.36
R1464641984069.68
H30473343804189.54
H29540046004008.69
H2845064028.92
H2745684038.82
H2646174078.82
H2547004128.77
H2449864188.38
H2350563907.71
H2256434718.35
H2160264868.07

受験者の属性などについて

平成26年度の受験者アンケートによれば、受験者の属性は、会社員・公務員・自営業等が77%で大半を占め、無職・専業主婦が15%、学生3%、その他5%となっています。
また、勉強方法については、独学が43%、通学が23%、通信が33%、その他1%となっています。つまり、何らかの形で予備校を利用している方が56%で多数派となっています。

これらのデータはあくまで受験生全体に対してのものなので、本気の受験者層にしぼった統計をとれば、予備校利用率はさらに高くなると思われます。

※『平成26年度土地家屋調査士試験 受験者アンケート集計結果』(土地家屋調査士協会連合会)を参考に記載

街並み

抜け道がないから平等な試験

税務署OBは無試験で税理士になれるし、大学院・公務員を経由して税理士の科目免除を受けることができます。
司法書士には裁判所事務官や登記官を経由してなることができます。
宅建には5点のゲタを履かせる抜け道があります。

しかし土地家屋調査士の場合は、基本的に真正面から試験をクリアした人たちばかりです。したがって試験に合格した努力が報われる、平等な試験と言えるでしょう。

年内にゼロから免除ルートで最終合格できる

ゼロからスタートする方は、下記のスケジュールで測量士補と調査士を同時に受験し、午前の部の免除を受けて年内に合格することが可能です。※スケジュールは毎年変わる可能性がありますので測量士補は国土地理院、調査士は法務省のページにて受験案内をご確認ください。

土地家屋調査士・測量士補同時受験
  • 1月中
    測量士補の受験申し込み
  • 5月中旬
    測量士補受験
  • 7月上旬
    測量士補合格
  • 7月下旬~8月上旬
    土地家屋調査士の受験申込み
    「午前の部」の免除申請
  • 10月下旬
    調査士「午後の部」受験
  • 1月上旬
    調査士筆記試験合格発表
  • 1月下旬
    調査士口述試験受験
  • 2月頃
    調査士最終合格発表
筆記試験が10月下旬に変更されました!※2018.1.1追記
平成29年度試験までは8月に午後の部試験→11月上旬合格発表、口述試験→12月中最終合格発表というスケジュールでしたが、平成30年度試験から午後の部試験が10月に変更になりました。もうすでに平成30年度試験に向けて受験勉強を始めている本気受験生にとっては勉強の期間が長くなるのでお気の毒ですが、これから受験勉強を始めるかたには、十分な時間が確保できるのでチャンスと言えるでしょう。

変更された理由は次の2点によるためです

  1. 台風の時期を避けるため
  2. これまでは、同じ年に土地家屋調査士と測量士補を受験する場合、測量士補に合格した後に土地家屋調査士の受験内容変更申請として午前の部の免除申請をする必要があったがそのわずらわしさを解消するため
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調査士「午後の部」とはどんな試験か?

では、実質的な関門になっている「午後の部」について確認していきましょう。
午後の部の試験時間は2時間半です。

多肢択一式20問(50点満点)と、記述式2問(50点満点)からなります。択一と記述にはそれぞれ受験生の出来に応じて足切り点が設定されます。
近年の傾向からすれば択一は民法から3問、土地家屋調査士法から1問、不動産登記法から16問出題されます。民法は総則、物権、親族・相続からの出題が多く、債権からはほとんど出題されません。

記述式は、土地が1問、建物か区分建物から1問出題されます。
出題内容の割に試験時間が短く、スピードが要求される試験となっています。
一般的に記述式は建物(区分建物)の方が安定して点数を取りやすいので、択一→建物→土地の順番で解く受験生が多いようです。

数学の自信がなくても心配無用!

「サイン・コサイン・タンジェント」、「複素数」、「関数」と聞くと苦い思い出が・・・なんて人は多いと思います。苦手の程度にもよるので「誰でも大丈夫」とは言いませんが、数学の素養が無いからと諦めるのは早計です。

試験で使うのは、座標や面積を出すための知識ですが、これは数学の中でもごく限られた部分で、ある程度勉強が進めばパターン化され、あとは電卓をどう押すかだけの問題になってきます(簿記と違って、電卓のスピードも要求されません)。

無料で見られるNHKオンライン高校講座「三角比」の章での動画学習はおすすめです。他の章に手を広げる必要はありません。「複素数」については電卓のテクニックでしかないので、言葉の意味を理解する必要すらありません

数学が多少苦手でも大丈夫!

コスパに優れた資格!

この資格が独立開業型資格なのに超難関とまではいかないのは、数学と聞いて受験を避けている層がかなりいるというのがひとつの理由ではないかと思われます。実を言うと、この参入障壁のおかげで比較的コストパフォーマンスに優れた資格となっているのです。受験を決意した時点で参入障壁にとまどっている層をさしおいて、大きな一歩を踏みだすことができます。

実は試験問題もおもしろい

「表示に関する登記」を扱うのが調査士であり、「表示」というだけあって、問題文もイメージしやすいのが特徴です。実際に手を付けてみると、問題内容は実務的でストーリーがあり、座標が出たときの快感もあって、他の暗記一辺倒な資格よりも圧倒的に受験して「楽しい」資格です。ぜひチャレンジしてみましょう!

土地家屋調査士試験合格サイト 東京法経学院

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