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開業する都市によって有利不利があるのか考えてみた
地縁血縁のある都市で開業するのが普通だと思いますが、開業する都道府県によって有利不利があるのかを考えてみました。下記の表は『登記統計』(2013年)から表示に関する登記件数を、『土地家屋調査士白書』(H25.4.1時点)から土地家屋調査士の人数を拾い出し、都道府県別にまとめたものです。登記件数 ÷ 土地家屋調査士の人数で調査士一人当たりの登記件数を算出し、これの多い順に並べています。
土地家屋調査士一人当たりの表示に関する登記件数
都道府県 | 登記件数 | 調査士 | 調査士一人当たり登記件数 |
---|---|---|---|
和歌山 | 102,391 | 162 | 632 |
高知 | 64,334 | 122 | 527 |
秋田 | 69,849 | 137 | 510 |
島根 | 51,920 | 113 | 459 |
鳥取 | 33,397 | 75 | 445 |
青森 | 61,943 | 141 | 439 |
山梨 | 59,964 | 146 | 411 |
三重 | 99,543 | 284 | 351 |
熊本 | 99,870 | 285 | 350 |
石川 | 59,765 | 174 | 343 |
富山 | 49,115 | 157 | 313 |
広島 | 139,097 | 459 | 303 |
長野 | 121,328 | 407 | 298 |
長崎 | 57,964 | 201 | 288 |
岩手 | 51,278 | 179 | 286 |
佐賀 | 34,237 | 121 | 283 |
大分 | 51,663 | 187 | 276 |
新潟 | 98,933 | 363 | 273 |
茨城 | 111,075 | 416 | 267 |
山口 | 59,837 | 231 | 259 |
山形 | 47,272 | 191 | 247 |
鹿児島 | 69,767 | 307 | 227 |
宮崎 | 43,349 | 192 | 226 |
福島 | 61,866 | 281 | 220 |
岡山 | 61,131 | 279 | 219 |
北海道 | 107,378 | 509 | 211 |
滋賀 | 42,800 | 206 | 208 |
群馬 | 70,018 | 341 | 205 |
栃木 | 58,847 | 289 | 204 |
岐阜 | 79,083 | 392 | 202 |
宮城 | 55,350 | 283 | 196 |
奈良 | 39,235 | 208 | 189 |
徳島 | 29,241 | 167 | 175 |
千葉 | 103,981 | 612 | 170 |
神奈川 | 148,450 | 887 | 167 |
兵庫 | 114,709 | 722 | 159 |
静岡 | 91,685 | 607 | 151 |
埼玉 | 128,907 | 854 | 151 |
東京 | 220,341 | 1,507 | 146 |
京都 | 45,154 | 317 | 142 |
福岡 | 96,094 | 676 | 142 |
福井 | 21,562 | 155 | 139 |
愛知 | 152,648 | 1,105 | 138 |
愛媛 | 37,579 | 285 | 132 |
大阪 | 137,206 | 1,084 | 127 |
香川 | 25,453 | 211 | 121 |
沖縄 | 22,023 | 189 | 117 |
※ 都道府県別登記件数『登記統計』(法務省)2013
※ 土地家屋調査士の都道府県別人数『土地家屋調査士白書』(日本土地家屋調査士会連合会)H25.4.1時点
一位の和歌山と最下位の沖縄では、「調査士一人当たり登記件数」で6倍近い開きがありました。
土地家屋調査士1人当たりの人口
土地家屋調査士1人当たりの人口は『土地家屋調査士白書』によれば、最も多い徳島で4701人、最も少ない北海道で10738人となっており、全国平均で7457人となっています。
人口の増減は登記件数とはあまり関連性がない
人口が増加している都道府県は下記の8つです。
東京、沖縄、愛知、埼玉、神奈川、宮城、滋賀、福岡
これらの都道府県はいずれも調査士一人当たりの登記件数が下位に低迷しています。土地家屋調査士の一人当たりの人口もほぼ平均的であるため、開発行為や建築が及ぼす登記件数への影響はかなり低いようです。
まとめ
土地家屋調査士一人当たりの登記件数が1位の和歌山や2位の高知では人口が減少傾向にあるため、開発等で登記件数が多いというわけではなさそうです。推測ですが、防災上の観点や国体などを前にして積極的な道路整備がなされており登記件数が多かったのではないかと思われます。その他の上位を見ても道路整備の余地がある地方都市が多いようです。これらの都市では公嘱協会の重要性が増すことでしょう。一方で、東京、大阪、愛知など成熟した都市で登記件数が少ないのは、新たに道路が敷設される余地が少ないためではないかと推察されます。
表示登記の件数はその都市で行われている公共事業によるところが大きいと考えられるため、今後もそのような状態が継続するとも限らず、数字だけを鵜呑みにしてわざわざ地方都市で開業するのは考えものです。
やはり地縁、血縁、土地勘のある自分のホームグラウンドで開業することを第一に考えるべきでしょう。