目次
司法書士と土地家屋調査士のダブルライセンスを目指すことについて
土地家屋調査士を合格した人の間でよく話題にあがるのが、次に司法書士を目指すかどうかということです。また、一方で、司法書士に合格したので、調査士が気になっているという人もいるでしょう。
実際にこのダブルライセンスは、世の中にも数多くいます。そこで司法書士と土地家屋調査士の両方を取得することについて、あらためて考えてみましょう。
司法書士と土地家屋調査士のダブルライセンスのメリット
「登記」とひとくちに言っても、権利に関する登記と表示に関する登記に分類することができます。権利に関する登記の業務を行うのが司法書士であり、表示に関する登記の業務を行うのが土地家屋調査士です。つまり、両方の資格を取得することにより、登記に関するあらゆる業務を行うことができるようになります。
一般の人が登記をすることを考えるのは、売買や相続のタイミングがほとんどですが、この前提として表示に関する登記を要する場合も多くあり、ダブルライセンスであればワンストップサービスでそのニーズに応えることができるようになります。
収入について言えば、人的・時間的制約もあり、両方とったので収入が倍になるというわけではありませんが、非常に親和性の高いダブルライセンスであることは間違いありません。
司法書士と土地家屋調査士のダブルライセンスのデメリット
人的、時間的制約がある
資格は取ったからそれで終わりではありません。実務を行うには継続して研修に参加し情報を更新し続ける必要があります。ダブルライセンスであれば両方の資格について勉強し続ける必要があり、第一線で活躍し続けるために能力を維持する事自体が負担となる可能性があります。
また、業務も多岐に渡るため、補助者を雇うにしても必要になる人数やレベルが高いものになってしまうでしょう。
同業者からの仕事が来なくなる場合がある
司法書士と土地家屋調査士はそれぞれ仕事を融通しあう関係にありますが、あなたが両方の資格をとってしまったら同業者はどう感じるでしょうか・・・??
多くの同業者は、ギブアンドテイクの関係が崩れ、自分の仕事を取られるだけになってしまうことを警戒することでしょう。そのため、同業者と深い信頼関係を築いておくことが重要です。
土地家屋調査士から司法書士を目指す場合
土地家屋調査士試験と司法書士試験の難易度には大きな差があります。土地家屋調査士は、あきらめずに受験を続けていればかなりの確率で合格にたどりつきます。例えば8月の本試験終了後に勉強をお休みし、不合格だったが勉強を再開せず、翌年の本試験数カ月前にようやく重い腰を上げて勉強を開始したところ合格したという話もあります。
これは、調査士試験が電卓や作図など技術的な要素が多くあり、暗記事項も限定的であることが理由だと考えられます。司法書士で同じようなことをすればおそらく永遠に合格することは不可能でしょう。司法書士試験は暗記しなければいけないことが桁違いに多く、継続的に勉強をしなければ暗記することより忘れていくことのほうが上回ってしまうからです。
家族の協力も必要
司法書士試験の合格率は3%程度と、非常に狭き門です。さらに司法試験受験者層の流入により難化が著しいと言われています。3,4年で合格できればいいほうでしょう。受験資格要件がないため、本気受験者層を分母にすれば合格率はもう少し高いのかもしれませんがそれでも超難関なのは間違いありません。
試験範囲も大変広く、暗記事項も多いため、無職や学生の合格者がかなりの割合を占め、合格者の平均年齢も35歳程度と比較的若いです。調査士受験のときとは異なり、働きながら合格は目指すのは困難であるといえます。時間的にも、資金的にも家族に負担を強いることになるのは間違いありません。
この資格も合格後には、司法書士会に入会しないと業務を行うことはできませんし、司法書士を名乗ることも許されません。入会にはまとまったお金が必要であり、年会費も所属する会によって定められた金額を収める必要があります。
まずは行政書士を目指そう
司法書士の受験は茨の道です。法律の適性を確認し、なにかしらの実績を残すためにも、調査士に合格したら次は行政書士にチャレンジするのもおすすめです。試験科目としては調査士と民法が重複します。
行政書士の試験は一時合格率が乱高下していましたが、近年は10%弱程度で推移しています。行政書士試験は、司法試験制度改革によって司法試験受験生が流入したのでやや難化傾向にあるようですが、調査士の本試験終了後に申し込んで合格を目指すことも十分可能です。
試験科目は、憲法、民法、行政法、商法、基礎法学、その他一般知識など、幅広い範囲から出題され、過去問の勉強範囲広範囲に渡ります。試験方式は5肢択一式と、記述式があります。
登録しないと業務を行うことができないのはもちろんのこと、行政書士を名乗ることも許されません。しかも登録には30万程度かかります。さらには毎年会費として、6万円程度かかることが多いようです(所属する行政書士会にもよります)。何か稼ぐあてがない限りはなかなか登録するのには勇気がいる金額ですが、そのへんは合格してから考えましょう。
行政書士は毎年5万人程度が受験するマンモス資格であり、TAC、ユーキャン、東京法経学院、LECなど、さまざまな資格関連会社が講座を開講しています。
調査士試験でおなじみの東京法経学院も行政書士講座を開講しており、調査士合格後の短期で受験するニーズに応えるためか、非常にコンパクトで内容の濃い最短合格講座が開講されています。行政書士受験者層でも評価も高い講座です。
⇒ 行政書士 新・最短合格講座
司法書士から土地家屋調査士を目指す場合
司法書士を取得後、調査士を数ヶ月の短期で合格する方も多くいます。理由を分析すると、以下のことが挙げられます。
民法を勉強せずに高得点が取れる
不動産登記法になじみがある
権利に関する登記よりイメージしやすい
数学を恐れてはいけない
司法書士は文系資格なので、数学に対して苦手意識を持っている方も多くいます。調査士も取れば有利になるのはわかっているけど数学を理由に敬遠しているという方も多いでしょう。しかし、調査士に用いる数学の知識は非常に限られており、恐れる必要はありません。詳しくは下記を参照してください
司法書士用の調査士講座がある
司法書士向けの土地家屋調査士講座として、民法を省略して価格を抑えた講座が開講されています。
⇒ 土地家屋調査士 新・最短合格講座(民法なし)